Photo by Sylvia Steinhäuser

 

Midori Hirano プロフィール:

ベルリンを拠点に活動する京都出身のミュージシャン、作曲家、サウンド・アーティスト。幼少の頃からピアノを習い始めた事をきっかけに、大学でもクラシックピアノを学ぶ。その後は電子音楽にも傾倒した彼女の作品はピアノや弦楽器などのアコースティック楽器の使用をベースにしながらも、シンセサイザーや繊細な電子処理による現代的なデジタルサウンドが織り交ぜられたものとなっている。

2006年にnoble/MIDIクリエイティブからデビュー作「Lush Rush」を発表。セカンド・アルバムの『klo:yuri(クロユリ)』(2008年、noble)は、米TIMEマガジン、英BBCラジオ、英FACTマガジンなど様々なメディアで取り上げられた。2008年末にベルリンに移住後、コンスタントに作品を発表していく中でベルリンのレーベルSonic Piecesから2枚のアルバム『Minor Planet』(2016)と『Invisible Island』(2020)をリリースし、ピアノとシンセシスを駆使した複雑なハーモニーを持つ繊細なソングライティングを特徴とする彼女のシグネチャー・サウンドを確立した。 MimiCofという別名義では2011年にPROGRESSIVE FOrMより初の作品『RundSkipper』を発表し、本名名義よりもさらに電子音のテクスチャーや緻密なリズムパターンにフォーカスしている。

MimiCofとしては、CTM Festival(ドイツ)、Boiler Room Berlin、L.E.V. Festival(スペイン)といったフェスティバルやイベントに出演し、2018年にはフランク・ブレットシュナイダーがキュレートした、Rasterレーベルの『Sichten』コンピレーション・シリーズの第1弾に参加した。MimiCofのサード・アルバム『Moon Synch』(2017年、独Alien Transistor)は、ストックホルムの電子音楽スタジオEMS Elektronmusikstudionでのレジデンス期間中にBuchlaアナログ・モジュラー・シンセサイザーで録音した音源を元に制作された。続くアルバム『Distant Symphony』(2022年、独Karlrecords)は、ベオグラードのElectronic Studio Radio Belgradeでビンテージ・シンセサイザーEMS SYNTHI100を使用して録音された。

アルバム『Water Ladder』(2021, 独Alien Transistor)では弦楽奏者の波多野敦子、『Sichten』コンピレーション(2017, 独raster)に収録のトラック『Love Control』ではAnti Pop ConsortiumのHprizm、Lali Punaのアルバム『Two Windows』(2017, 独Morr Music)の収録トラック『Everything Counts On』参加、ステージではデュオとして元Pan SonicのIlpo Väisänenと共演するなど、様々なジャンルのアーティストとコラボレーションしている。また、女性プロデューサー&アーティスト集団Monika Werkstattに参加し、創設者のGudrun Gut、Beate Bartel、Pilocka Krach、Lucrecia Dalt、Natalie Beridze、Anika、Sonae、Islajaらと共演。 Gudrun Gutが80年代に活動していた3つのバンド、Malaria!、Mania D、Matadorによる楽曲をMonika Werkstattと共に制作をしたカバーアルバムは、2021年にGut自身のレーベルMonika Enterpriseより「M_SESSIONS - REWORKS」としてリリースされた。

自身の作品制作に加え、ダンス・パフォーマンス、ビデオ・インスタレーション、ベルリン国際映画祭、クラクフ映画祭、SXSW映画祭などで上映された映画への楽曲提供も行っている。2020年に城崎国際アートセンターで制作、京都Theatre E9にてプレミア上演された児玉北斗振付によるダンスパフォーマンス作品『Pure Core』の音楽、および同作品で照明を担当した藤本隆行 (Kinsei R&D)によるインスタレーション作品『Pure Core Installation』の音楽を担当。

2023年にはアマゾンプライムから配信されたサッカードイツ代表に密着したドキュメンタリーシリーズ「All or Nothing – The German National Team in Qatar」(制作:米Amazon Studio、独UFA Documentary & Stereo Films、監督:Christian Twente)の全4エピソードの音楽を担当し、その一部はサウンドトラックアルバムとして同年に英Erased Tapesよりデジタルでリリースされている。その後第40回ワルシャワ国際映画祭でプレミア上映された長編ドキュメンタリー映画『Tokito』(2024、監督:水谷明希)の音楽も担当。

Rival Consoles(Erased Tapes)、Robot Koch、Liars(Mute Records)など他アーティストのリミックスも数多く手がけている。

昨今の作品はMimiCof名義も含め、Sonic Pieces、Dauw、Alien Transistor、Karlrecords、Erased Tapes、INNIなどのレーベルからリリースされている。ドイツの兄弟デュオBrueder Selke(ブリューダー・ゼルケ)とのコラボレーション・アルバム『Split Scale』は2025年1月末に米Thrill Jockeyから、また4月初頭には仏Ici d’ailleursよりIvan PavlovことCoH(ソン)とのコラボレーション・アルバム『Sudden Fruit』がリリース予定。